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川口敦子

料理や洗濯、掃除、子どもの忘れ物管理…膨大な家事を誰が担っている?どう分担している?




報道現場で、子育てと仕事の両立を目指して日々奮闘する皆さんに、「そこんとこどう?」を聞く新企画「ウチらの子育て」がスタートしました!この回では、3人の記者に「膨大な家事、どうやって分担しているの?パートナーとの分担割合は?」と聞いてみました。それぞれの経験と知恵が、読んでくださったあなたの参考になれば幸いです。(聞き手・川口敦子=フリーランス)

【この回では、次の皆さんの記事を読むことができます】 (記事はこちら)をクリックすると、それぞれの記者の記事に飛びます。スクロールしていって、全員の記事を通して読むことも可能です。



浅野有紀さん(東京新聞・中日新聞)

保育園迎えは夫婦で分担。いまは奇数日に私が、偶数日に夫が迎えに行っています。娘が小さい間の子育ては「今」しかないので、夫にもちゃんと関わってほしいのです。 (浅野さんの記事はこちらから) (末尾に、浅野さんのパートナー、井上さんのコメントがあります) (プロフィール)

1988年生まれ、2013年中日新聞社に入社。中日新聞地方版整理部、大津支局、春日井支局、東京新聞さいたま支局を経て2023年8月から現職。子育てサイト「東京すくすく」で、子育ての悩みや支援制度の課題を発信している。2021年に長女を出産。




氏家寛子さん(NHK)



平日夕方は基本ワンオペ。もう3年半の付き合いのシッターさんは、子どもにとっては「おばあちゃん」のような存在ですが、仕事と子どものケアのバランスには悩みます。

(氏家さんの記事はこちらから)

(プロフィール) 1987年生まれ。2010年NHK入局。水戸局が初任地で、岡山局、新潟局を経験。2019年から首都圏局に所属し遊軍担当。2016年に長男を、2019年に次男を出産。

保育や介護など生活者の視点を大切にした取材を多く手がける。



小田智博さん(共同通信社)


うちの家事分担割合は、「妻が7割、私が3割」というのが、私の実感です。妻は「もうちょっとやってるんじゃないの?6:4ぐらい」と言ってくれましたが。 (小田さんの記事はこちらから)


 (プロフィール) 1983年生まれ。2005年に共同通信社に入社。大分支局、福岡支社編集部、東京本社社会部、長野支局を経て、2015年から再び東京本社社会部。2014年の長男誕生後に計1カ月半、2017年の次男誕生後に1カ月の育休をそれぞれ取得。


浅野有紀さん 東京新聞・中日新聞編集局  東京すくすく部 記者

保育園迎えは夫婦で分担。娘が小さい間の子育ては「今」しかないので、夫にもちゃんと関わってほしいのです。

浅野有紀さん(2024年1月25日、東京都千代田区で川口敦子撮影)

私と夫は同じ新聞社で働いています。まもなく3歳になる長女(取材時)を保育園に迎えに行く日は夫婦で分担しており、いまは奇数日に私が、偶数日に夫が迎えに行っています。娘が小さい間の子育ては「今」しかないので、夫にもちゃんと関わってほしいのです。

 

前任地のさいたま支局では、娘が1歳3カ月になったときに復職し、私が毎日17時半に保育園に迎えに行っていました。早く寝かせてあげたいので、夕方はひとまず迎えが最優先。原稿の問い合わせがあれば、県庁を出たところで電話を受け、携帯電話で話しながら保育園に向かい「子どもをピックアップしたら折り返します」と伝えたり、家で夕ご飯の準備をしてから追加の電話取材をしたり、そんな風にして乗り切っていました。

 

支局長もデスクも女性で、こちらの状況を理解してくれて「日中みっちり集中してくれればいいから」と言ってくれたことはとてもありがたかったです。県政担当の同僚が同期でなにかとサポートしてくれたおかげで、早く迎えに行けていました。

 

それでも、いつでもこんな風に乗り切れるわけではなくて、子どもが小さいときには急に熱を出し、私が仕事を休まざるを得ないこともしばしばありました。出産前は夜遅くまで仕事ができたのに、なぜこういうときに休むのがいつも自分になるのか。共働きなのに「なんで私ばかり」という気持ちが高まり、夫と話し合った結果、私の東京本社への異動を機にこのスタイルにたどり着きました。

 

いまも全力で働けているとは思いませんが、幼い子どもにイライラしないようにするために余力を残しておくことも私自身には必要で、いまは「このぐらいまで」と仕事をセーブしている面があります。その一方で、最近は「もうちょっと仕事をしたい」という気持ちも芽生えてきています。


浅野有紀さん(2024年1月25日、東京都千代田区で川口敦子撮影)

井上真典さん 東京新聞・中日新聞編集局 社会部 記者

妻(浅野さん)は産後、脳出血で入院し、一時重篤な状態に陥りました。そのとき私は警視庁担当でしたが「仕事より妻が大事だ」と思い、すぐに里帰り中の妻の元に向かいました。仕事を抜けることに対し、上司の理解が得られたことは幸いでした。

 

そんな大変な経験をした妻に「娘が小さい間の子育てに関わってほしい」と言われたら、どうするか決断せざるを得ないですよね。二人で育児するのは当たり前なので、なんとか仕事をやりくりできるよう工夫しました。

私は警視庁の二課・暴力団・交通担当も務めましたが、基本的には何もなければ18時には警視庁を出ていました。夜回りをしなければ当然落とすこともありますが、取材先には家庭の状況を話して理解を得るようにしていました。仕事で成果を出す方法は、夜回りだけではない。昼間にできることはいろいろあります。ずっと事件について考え、お金や融資の流れについて自分で調べ、何ヶ月も掛けて関係者を探して当たる。当たり前だった夜の会食も昼間にしました。こういうやり方で真実にたどり着くことはできる、というのが私の経験に基づく実感です。

 

奇数日・偶数日に分けて、夫婦で娘の迎えの日を分担するというのは私たち夫婦で相談して決めました。ただ「これが正解だ」というものではありません。夫婦二人がお互い納得していれば、夜中まで働いても、18時に帰っても、どんな形でもよいのではないかと思います。ただ仕事に波はあるもの。実際、私も「この時期は(事件関係で)遅くなりそう」と妻と交渉して、1週間迎えの日を交替してもらうことはありますよ(笑)。


 

氏家寛子さん NHK首都圏局コンテンツセンター 記者

平日夕方は基本ワンオペ。もう3年半の付き合いのシッターさんは、子どもにとっては「おばあちゃん」のような存在ですが、仕事と子どものケアのバランスには悩みます。


氏家寛子さん(2024年1月29日、東京都渋谷区で川口敦子撮影)

夫の帰宅時間が遅いため、平日の夕方は基本ワンオペです。(取材時:長男7歳、次男4歳、夫は別業界の会社員) ベビーシッターを利用しない日の例は、こんな感じです。 6:45 起床

7:00 子ども起床、朝ごはん(ゴミ出し、朝ごはんの皿洗いは、夫の担当)

7:40 長男朝学習

8:00 長男小学校へ

8:20 自身の出勤

8:40 夫出勤、次男保育所への送りも

8:50 職場着 (勤務)

17:30 職場発

18:00 長男小学校学童迎え、次男保育所迎え

19:00 夕ごはん

19:40 宿題・翌日準備

20:00 風呂

21:00 子ども就寝

21:30 洗濯など家事、民放などチェック、自由時間

22:00ごろ 夫帰宅

23:45 就寝

週2回は、ベビーシッターを利用しています。同じシッターさんに依頼するために曜日を固定しているのですが、仕事を続ける上でシッターさんは欠かせない存在です。夕方、長男の小学校学童迎えと、次男の保育所迎えをお願いし、夕飯を食べさせてもらっています。私の親と同じ年代の方で、子どもと一緒に工作や折り紙もしてくれます。もう3年半の付き合いで、子どもにとっては「おばあちゃん」のような存在です。

 

自分が夕方の番組に出演するときや、遅い時間の取材のときは、週に複数回、シッターさんに来てもらいます。勤め先の福利厚生でベビーシッターの割引券は利用できますが、繁忙期には自分の持ち出しが多くなることがあります。そこは、未来の自分への投資だと考えて、「仕方ない」と割り切っていますね。昨今、シッターさんのニーズが増えたことで、急な手配をかけたときにお願いできる人が見つかりにくく、やきもきすることもあります。

 

今、頭を悩ませていることが、主に二つあります。 一つは仕事と子どものケアのバランスです。自分が所属する部署の番組で特集を担当するときは、あらかじめ上司に放送希望日を伝え、シッターさんに依頼できる日に放送日を調整してもらえますが、もっと大きな番組を担当するときはチームのメンバーが多いのでそれが難しい。自分の成長ややりがいのために大きな仕事もやりたいという思いもありつつ、そちらを優先しすぎると子どもへの負荷が大きくなるので、どうバランスを取るか頭を悩ませています。

あと一つの悩みは、長男(取材時7歳)の宿題です。子どもも帰宅して疲れているところで、漢字の書き順を教えるというのは本当に難しい(苦笑)。「漢字の書き順と、はしの持ち方は外注できない」と感じる今日この頃です。


氏家寛子さん(2024年1月29日、東京都渋谷区で川口敦子撮影)


 

小田智博さん 共同通信社編集局社会部 記者 うちの家事分担割合は、「妻が7割、私が3割」というのが、私の実感です。妻は「もうちょっとやってるんじゃないの?6:4ぐらい」と言ってくれましたが。

小田智博さん(2024年3月25日、東京都港区で川口敦子撮影)

うちの家事分担割合は、「妻が7割、私が3割」というのが、私の実感です。

朝ごはんにパンや目玉焼きを用意したり、こども園へ送ったりするのは私の役割ですが、夕方以降は妻の負担が明らかに高い。妻には「ありがとう」と言いたいです。

 

18時半以降は家事と育児のコアタイムとなります。2時間ほどの間に、こども園の迎え、夕ごはん、風呂の準備とやらなければならないことがギュッと詰まり、家事育児に関して一番忙しいタイミングを迎えるのです。

 

私の帰宅は、早くても20時ごろで、夕食の準備は妻に任せきりです。私は主に食後の片付けと洗濯を担当しています。洗濯についてはドラム型洗濯機があれば楽だとも聞きますが、自宅のものは縦型。4人分の洗濯物を干し、たたむのは地味に時間がかかります。ただ、夕食づくりのように時間に追われるわけではなく、夜遅く帰った後でもできるので、精神的な負荷は軽いと思います。

 

そういう訳で、私の実感としてわが家の家事分担割合は「妻7:私3」です。妻にそう話すと、「もうちょっとやってるんじゃないの?6:4ぐらい」と言ってくれましたが。

 

妻は料理が好きなので、甘めに採点してくれた面もあると思います。また、子どもが大きくなってきたため、妻の負担が少しは減ってきた、という側面もあると感じています。子どもが赤ちゃんだったときは、授乳ばかりは妻任せにならざるを得ず、夜泣きのときなどは「申し訳ない」と思うところもありました。 私自身は「育児や家事は男性もやって当たり前」と考えていますし、ある程度は実践もしているつもりです。ただ、フルタイムで働く妻の状況や、自身の転勤の可能性なども踏まえると、今の生活パターンが今後も回るかどうか、不安な部分はあります。

子どももそれなりに大きくなってきたので、「子育てもあと何年かで一段落するのではないか」と勝手に期待もしているのですが、子どもが中学生や高校生になったときにどうなっているか、どんな悩みが生じているかは分からない。そのときなりに、なんとかするしかないですね。


小田智博さん(2024年3月25日、東京都港区で川口敦子撮影)



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